Lablog2-106:Ig結合ドメイン融合ウサギ単鎖抗体の設計と機能化

2024-09-11

Conference name

Presentation style

Authors

Shogo Ito, Haruka Taniguchi, Jun-ichi Horiuchi, Yoichi Kumada

Speaker

Shogo Ito

Presentation File

Questions and answers

【Protein A, Gではだめですか?】
おっしゃる通り、Protein AおよびProtein Gで同様のストラテジーでの抗体の固定化は可能であると考えられます。しかし、今回用いたPpL1は先行研究により大腸菌による大量生産が可能であり、高い溶解性を持つことが明らかであったため、本研究では、PpL1融合scFvを大腸菌での発現を目指しました。


【Protein Lは使われているのですか?】
現在は、Protein A及びProtein Gの方が研究が進んでおり、より広く使われていると思いますが、Protein A, Gと抗体の認識部位が違うことから、最近では、Protein Lの需要も少しずつ増えてきています。

【生産濃度の違いは何によるものであると考えられますか?予測はできましたか?】
実際、生産してみないとわからないというのはありますが、考えられることとしては、今回モデルとした抗体がProtein L結合性を保持しているscFvを用いており、scFvのVLのFR1がProtein Lとの結合に関与しているとされており、今回の生産濃度の差は、scFvのVL(FR1)とPpL1の距離の違いによるものであると考えています。距離が近ければVLとPpL1の相互作用によりフォールディングがよくなったために、生産量が向上した可能性が考えられました。

【IgG固相化プレートを用いるということですが、製造コスト的に高くならないのでしょうか?】
おっしゃる通り、ヒトIgGが比較的低コストで手に入るとしても製造の工程が増えてしまうため、製造のコストは高くなると考えられます。この手法では、従来問題となっていた抗体の固相化条件を無視できる点と高感度化に伴う抗体使用量の低減という面でトータルのコストは少し下げることが出来ると考えています。また、今後の検討としてもIgGの低分子化することによる低コストかつ抗体の固定化密度の向上に取り組みたいと考えています。

【One-stepで濃度によってシグナルが下がっているのはなぜでしょうか?】
今回の検出では、抗原に対して異なるエピトープを持つ標識抗体を用い検出を行っています。PpL1融合scFvと標識抗体は異なるエピトープを持つものの、PpL1融合scFvの濃度が増加するにつれて抗原に対して、多くのPpL1融合scFvが結合し、標識抗体が立体障害により結合しにくくなったことが原因であると考えられます。

【IgG固相化プレートでのIgGも失活しているのでは?】
おっしゃる通り、今回用いたIgG固相化プレートでも一部失活していると考えられます。
今回は、現在MaxisorpなどIgGの固相に適したプレートが開発されているということもあり、ヒトIgGを用いて検討を行いました。

【PS-tagでの配向制御(scFvにPS-tagを融合したもの)があったが、違いやメリットは?】
先行研究でPS-tag融合scFvの開発が行われましたが、PS-tag融合scFvは不溶性タンパク質として発現することが明らかとなり、リフォールディング操作が必要であることやクローンにより固相化条件を最適化する必要がありました。しかし、本研究のPpL1融合scFvは、可溶化タンパク質として発現すること、scFvの固相化条件によらずプレートに固定化が可能である点がメリットとなっています。